土地・建物のそれぞれの測量と登記表示登記と測量業務
土地家屋調査士とは、不動産の表示に関する登記につき必要な土地又は家屋に関する調査及び測量を行う専門家として、不動産の物理的状況を正確に登記記録に反映させるために、必要な調査及び測量を行っています。不動産の表示に関する登記は、所有者にその申請義務が課せられています。しかし、その手続きはとても複雑で一般の方には理解しづらい事があります。
そこで、私たち土地家屋調査士は、依頼人の求めに応じて不動産の表示に関する登記の申請手続を代理します。不動産の物理的な状況を登記簿に反映するために、調査・測量の結果を踏まえ、建物を新築した場合における建物の表示の登記、土地の分筆の登記等の登記申請手続を行っています。
土地登記
土地の登記に関しては、どこに、どれくらいの広さに、どのように利用されているか?土地の登記簿の表題部には、土地の「所在」「地番」「地目」「地積」などが記載されます。土地家屋調査士は、土地登記に関して必要な測量から登記申請を行います。土地登記の種類は下記のように分けられます。
分筆登記
分筆登記は登記された一筆の土地を二筆またはそれ以上に分ける登記です。土地の一部を売却する場合や、畑の一部に家を建築をする場合などに行います。
- 相続が発生し遺産分割によって土地を分けたいとき
- 土地の一部を分割して売買したいとき
合筆登記
合筆登記は登記された2筆以上の土地を1筆にまとめる登記です。1戸建敷地など一見ひとつに見える土地でも実際はいくつもの土地がある時など1筆にまとめる事により分かりやすくする時に行います。
- 相続の前提に合筆されたいとき
- 隣り合った2筆以上の土地を所有していて、土地の管理上わかりづらくなっているとき
地目変更登記
地目変更登記は土地の利用目的など地目が変わった際に、登記された地目を他の地目に変更した時に行う登記です。変更した日から1ヶ月以内に行わないといけない罰則規定のある登記です。畑に住宅を建築した場合や、つかわなくなった土地に太陽光発電施設を設置した場合に行います。
- 登記事項と現況の地目が一致しないとき
- 畑や山林等を造成して宅地に変更したとき
地積更正登記
地積更正登記は登記された土地の面積が実際の面積と異なる場合に、実測面積に合致させる登記です。実測面積が少ない多いに係わらず行うことが可能です。
- 登記簿等に記載されている面積と実際の面積が違うとき
- 売買などで買主から確定面積をを求められたとき
建物登記
建物の登記記録の表題部には、「所在」「家屋番号」で建物の場所を特定し、どんな用途で使用している建物かを「種類」で、建物の主な材質・屋根の種類・何階建かを「構造」で、各階の大きさを「床面積」で表します。建物登記の種類は、下記のように分けられます。
建物表題登記
建物表題登記は新築した時や、建物を建築したが登記していなかった場合にする登記です。(新築後1ヶ月以内に行う義務があります)建物を新築した場合などに初めて登記記録(登記簿)の表題部を開設し、建物の物理的状況を記録する登記をいいます。建物を新築した場合、その所有者は1ヶ月以内に建物の表題登記を申請しなければなりません。
- 新築の家の登記をしたい
- 建売住宅を購入したとき
表題部変更登記
表題部変更登記は種類、構造、床面積に変更が生じた場合に行います。更正登記は当初から誤っていた場合に修正する登記です。増築して面積を増やしたり、住宅から店舗にした時などに行います。また、別棟で離れや車庫を建築した場合にもこの登記を行います。(変更は変更後1ヶ月以内に行う義務があります)
- 改築をして屋根を葺き替えた方
- 家の増改築をおこない床面積が増減した方
建物滅失登記
滅失登記は建物を解体した場合や、火災で焼失した場合等、物理的に建物が存在しなくなった時に行います(滅失後1ヶ月以内に行う義務があります)。
- 空き家になったため、建物を取り壊した
- 天災などで建物が消失した
- 建物が無いのに、登記記録には建物が残っているとき
区分建物表題登記
区分建物表題登記は1棟の建物でそれぞれ別個の専用部分として登記する場合に行います。マンションを新築した時しなければならない登記です。
また、2世帯住宅の時にも行う場合があります。
- マンションを新築したとき
- 2世帯住宅を新築したとき
測量業務
測量とは、土地の広さ(面積)や起伏(高低差)を測ったり、地表上の位置関係を明らかにする技術です。測量は、地図の作成にも使われる技術で、古くは古代エジプトから行われてきたと言われています。日本では、江戸時代に伊能忠敬が、歩いて日本地図を作ったのが日本の初めての測量と言われ、歩測や間縄で長さを測ったと言われています。
土地家屋調査士は、主に登記申請を前提とする測量を行い、その結果をもとに登記申請をします。当事務所では、トータルステーションやレベルなどを使い、最新の測量技術により行います。
境界確定測量
官公署の図面などをもとに隣接地所有者との境界確認を行い、土地の境界を全て確定させる測量を境界確定測量といいます。
隣地が道路や河川などに面し官有地だった場合には、官民境界協議書を交わすことになります。現地には、プラスチック杭や金属標などの永続性のある境界標を設置します。
土地分筆登記や土地地積更正登記を申請する場合、原則として境界確定測量を事前に行い境界が確定していることが必要です。
- お隣との境界がはっきりしないとき
- 土地を分けたいとき
現況測量
現況測量とは、土地のおおまかな面積や、高低差など土地の実際のすがたを図面化(現況図)する測量です。建物の建築や外構の工事をする場合に現況図があれば、より具体的な計画が立てられます。また境界確定測量とは異なり境界立会いが不要なため、期間も短く、コストも比較的安く済みます。
- 土地のおおまかな面積が知りたいとき
- 現況図を作成したいとき
境界標の復元測量
しっかりと境界標を設置していたのにも関わらず、思わぬ事象で境界標がなくなる事もあります。
例えば、道路工事や天災などで、境界標が亡失してしまった場合、法務局備付の地積測量図等の境界標の位置を特定できる資料があれば、測量をして元の位置に復元できる場合がありますので、お気軽にご相談ください。
- 工事や天災で境界標が亡失してしまったとき
ドローン測量
ドローンを使うと短時間で三次元測量ができます。各メディアなどでドローンをよく目にしますが、ドローンは様々な事業分野で実用化されています。低コスト、少人数での空撮を利用して、効率的に作業をこなすことができるのです。従来、測量を行う方法として主流だったのは「地上での測量」や「航空機を使った測量」です。しかし、地上での測量は手間がかかるため、大きな範囲を測量するためには長い期間と多くの人員が必要となります。また、有人航空機を使った方法の場合は、短期間で広大な範囲の測量が可能な反面、高額な費用が発生してしまいます。
そこで、近年測量に利用されているのがドローンです。ドローン測量は「地上での測量」と「ドローンによる測量」の中間のような位置づけであり、費用を抑えつつ比較的広範囲な測量を行うことができるのです。
ドローン測量のメリット
- 運用コストが安価で時間短縮地上にTSや標定点を何度も設置する従来の測量方法に比べ、ドローン測量は作業日数と作業人員を大幅に削減することが可能です。しかも、取得した3次元点群データは3Dモデルへの合成処理が容易で、測量後のいわゆる内業に該当するような製図やデータ分析のための人件費や作業時間の削減が見込めます。
- 人が立ち入れない場所でも入れるドローン測量は上空から測量を行うため、測量範囲に制約がありません。従来方法では測量できなかった場所も測量することができます。地上で人間が測量を行う場合、人が立ち入れない場所や危険な場所では測量を行うことができませんでした。しかし、ドローンの場合は無人航空機なので、測量する場所に制約を受けません。
- 簡単に3Dモデルを作成できるドローン測量は測量したデータを元にして、3Dモデルを比較的容易に作成することができます。ドローンは地形の情報を点群データとして保存しているため、専用ソフトを用いて自動的に解析を行うことができます。従来の地上で測量を行う場合では、測量作業に加えて取得データから必要な図を作成するためにも時間を要していました。しかし、ドローン測量の場合は自動的に必要な図を作成することができます。
ドローン測量のデメリット
- 測量費用がかえって割高になるケースがあるドローンを用いた測量でコストや時間を削減できるのは、広大で高低差のある土地や、湾岸や河川など人の手ではなかなか測量ができない場所です。狭い土地や、広いけれどグラウンドのようにでこぼこがない土地の場合は、人力で測量を行った方が短時間で効率的に測量が行えることもあります。測量する土地の状態を確認した上で、ドローンを用いるか否かの判断しましょう。
- バッテリー交換が必要になることがあるドローンは、飛行するため可能な限り機体を軽量化しています。そのためバッテリーの持ち時間も短めです。測量時間が長くなるとバッテリーの交換が必要になります。時間のロスにもなりますし、手間もかかるでしょう。したがってドローンで測量する際は、バッテリーの持ち時間と測量時間を計算して一つのバッテリーだけで作業が完了するか確かめてから、作業に取りかかることが重要です。
GPS測量
GNSS測量(GPS測量)は、人工衛星から送信される電波を利用する測位方式で、観測点間の距離や天候に左右されず高精度な測量を行うことができます。
ドローンによる空撮は地上からでは確認できなかったことが見えるだけでなく、撮影した写真を3Dデータ化することが可能で、従来では困難だった場所も容易に測量できるようになりました。
また、GNSS測量は基準点測量で採用すべきです。なぜならGNSS測量で基準点測量を行うことにより与えられた座標値は「世界測地系」になるからです。世界測地系とは、世界で共通に利用できる位置の基準をいいます。
GNSS測量で得られた座標値は世界測地系となり震災などの自然災害が発生し土地の位置や形状が不明となった場合においても、迅速かつ正確に境界などを復旧することができます。
GNSS測量のメリット
- 短時間でできるネットワーク型RTK GNSS方式は短時間で座標値が得られます。既存の基準点からトータルステーションを使用して基準点測量をした場合と比較してネットワーク型RTK GNSS方式は、仮の測量基準点において観測するだけなので1~2分で観測でき大幅に短縮できます。
- 一人で観測できるネットワーク型RTK GNSS方式は一人で観測ができる。トータルステーションを使用しての基準点測量も一人でも可能ですが、トータルステーションの設置、ミラーの設置で相当な時間を要します。
- 世界測地系の座標値が得られるGNSS測量は衛星からの電波を受信してデータを受け取るという測量です。得られたデータは「世界測地系」の座標値として使用できます。
GNSS測量のデメリット
- 上空が開けていないと観測できないNSS測量は衛星からの電波を受信する測量ですので住宅密集地や樹木が多い個所では衛星をキャッチできないので観測ができません。
- GNSS専用の機械が必要となる以前と比べて安くなったといってもまだ数百万円する器械ですので購入するのは大変です。ドローン測量もそうですが最新テクノロジーを導入している事務所は事務所選択の一つと言えると思います。
土地家屋調査士業務に関するよくある質問
- 建物を新築したときにはどのような手続きの流れになりますか?
- 土地家屋調査士による役所での調査から始まり、現地調査・測量を行って法務局に届出を行います。
ここで重要なのはその建物が誰の所有かということです。
間違って届出をしないよう土地家屋調査士による十分な調査がされます。 - 子供の家に親がお金を出して増築しました。建物は誰のものですか?
- もともとの建物と増築部分がどのようになっているのか調べる必要があります。
その状態によっては親のものにもなるし、子供のものにもなるし、共有になるかもしれません。
まずは土地家屋調査士の調査によってご確認ください。 - 土地を分割するためにはどんな作業の流れになるのでしょうか?
- まず測量を行って全体の把握をします。
そしてお隣との境界確定や、道路や水路などの官有地との境界確定を行って土地の周囲の境界を全て確認します。
その上でどのように土地を分けるか図面を作成し、法務局に申請します。 - 隣接する所有地を1つにまとめたいのですが、どうしたらいいですか?
- 複数の土地を一つの土地にすることを「合筆」(ごうひつ)といますが、所有者が同じ、地目が同じなど制限があります。
詳しくはお近くの土地家屋調査士にご相談下さい。 - お隣さんから土地の境界確認を求められたのですが?
- 土地の境界は自分にとってもお隣の方にとっても財産です。
自分の財産を守るためにもぜひ協力し、お互いの境界が無事確認できれば境界確認書を取り交わしましょう。
土地表題登記
土地表題登記は地番のない土地に地番をつける登記です。使用されていない溝や道などを払い下げを受けて自分の土地にする時などに行います。